複数の組織・企業によるメンテナンスのチームを組成し、2024年3月末に渋谷区に維持管理業務を完全に移管するまで、運用しながら改善を繰り返し、費用や清掃方法など、最適な仕組みを探求しています。
清掃は1日3回行う通常清掃、1カ月に1回行う定期清掃、年に1回の特別清掃と3つの種類に分け、さらに月に一度、第三者機関であるトイレ診断士による診断を行っています。また毎月、関係者による維持管理協議会を開き、清掃報告、診断報告を元にトイレの利用状況を把握し、維持管理業務の改善を図っています。
※ 通常清掃については、綺麗に使用されているトイレは1日の清掃回数を減らしています。
私たちが大事にしていることは、「トイレを傷めない」ということ。屋外トイレは屋内トイレに比べ、風雨など厳しい環境下での維持管理が求められます。特に「THE TOKYO TOILET」のトイレは、ステンレスやガラス、塗装など様々な素材が使われているので、それぞれに最適なアプローチで維持管理を行う必要があります。長く公共トイレを利用いただけるよう、細心の注意を払い、正しい知識を持って素材を傷めない清掃用具と洗剤の選択をしています。公共トイレは清掃を怠るとどんどん汚れが蓄積してしまいますが、人は、美しいものは汚しづらいものです。毎日きれいな状態に維持することで、利用者に次の利用者のことを思って使っていただけることを信じています。
清掃員 東京サニテイション株式会社
日々の清掃に尽力いただいている清掃員に、より気持ちよく取り組んでいただけるよう、NIGO®氏にデザインを監修いただき、ユニフォームを制作しました。
清掃員からは、「清掃中に声を掛けていただく機会が増えた」「写真撮影をお願いされることがある」「飲み物や野菜等の差し入れを頂くことも」と、このユニフォームを着用することで、利用者との交流も増えています。
清掃員が着用するユニフォーム
私たちトイレ診断士は、第三者チェック機関として、専門家の立場から科学的な分析を行い、管理者に情報をフィードバックする役割を持っています。公共トイレは、通常の清掃だけでは解決できない設備的な不具合や、拭いきれないニオイ、汚れというものがどうしてもあります。設備面での不具合やにおい、汚れ、そして、換気量や空気の流れなども専門の機器を用いて細かく調べています。月に1回、すべてのトイレを診断していますが、清掃員の方々が繰り返し清掃を行って、その都度最適なアプローチをしているため、最初の頃と比べてATP(汚れの指標)はかなり下がっています。THE TOKYO TOILETのような美しい公共トイレが当たり前になるように、私たちも一助になれたらと思っています。
診断士 株式会社アメニティ
渋谷区は、街全体で多様な楽しみ方ができる、テーマパークのような街です。パークを巡っていただくにあたり、トイレは欠かすことのできない施設です。しかし、「THE TOKYO TOILET」が持つのはトイレとしての機能だけではありません。トイレをつくる人、維持管理をする人、そして、それを利用する街の人や街を訪れた人・・・携わる人々も含めて全体がデザインされていることが特徴です。街は行政だけがつくるものではありません。民間企業や市民も、その街の担い手なのです。さらに、このトイレがあることで、そこに至るまでの街路や壁面など、街全体もデザインされていくことでしょう。トイレという小さな変化かもしれないけれど、それだけで街全体が変わっていく。新しい成熟した街のあり方を根底から考え、発信する、渋谷らしいプロジェクトが実現できていることをうれしく思います。THE TOKYO TOILETによって、「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の公共空間にまで個性が宿り始めました。この個性をしっかりと守っていけるよう、維持管理にも努めてまいります。THE TOKYO TOILETがある街で育った次の時代の街の担い手・使い手である子どもたちが、どんな感性を育んでいってくれるのかも楽しみです。彼らが、街とはこうあるべきだという気持ちを強く持ち、大きな声で語れるようになると、渋谷にとって、そして日本にとって大きな価値になるでしょう。
快適に使い続けていただける公共トイレを維持するためには、 皆さま一人ひとりのご協力が必要です。 利用頻度の高い神宮通公園トイレ、恵比寿東公園トイレなどで、落書きや破損などの被害が発生しています。公共トイレは私たちみんなのものです。次に使う人のことを思い、きれいに利用しましょう。